猫をお迎えすると決めたときは、だれもが生涯にわたって大切に育てていくと考えるはずです。猫の平均寿命は約15年といわれており、その期間で猫や飼い主にさまざまな変化が起こり、自分がお世話をしていくのが難しくなることがあります。そのため、まずは自分が猫と暮らしていける方法を考えるべきですが、猫の幸せを考えたときに引き取り先を探さなければならないこともあるでしょう。
この記事では、さまざまな事情によって猫を飼えなくなったときはどうすればいいのか、引き取り先や注意点などについて詳しく解説します。猫のお世話が難しくなってしまったときに備えて、しっかり確認しておいてくださいね。
猫を飼えなくなる理由
家庭や仕事による環境の変化
猫を飼えなくなる理由のひとつに、家庭や仕事による環境の変化があります。例えば、引っ越し先の物件でペットが飼えない場合や、仕事で長期間の不在が増えた場合など、飼い主の生活スタイルが大きく変わることが原因です。
また、子どもが猫アレルギーになってしまったり、離婚によってお互いが猫を引き取れない状況になったりすることも。そのため、猫をお迎えするときは環境が変わることも考えたうえで、お迎えするかどうかを判断することが大切です。
猫の健康状態や出産による変化
猫が病気やケガをしてしまうと、飼い主は猫につきっきりでお世話をしなければならないこともあります。そうすると仕事にも支障が出てしまったり、高額な治療費を負担できなくなったりすることで、猫を飼えなくなる方も多いです。
また、予期せぬ出産があったことで、猫を飼えなくなるケースもあります。多頭飼いになると出費が増えるのはもちろん、猫を十分にお世話できる時間が足りなくなってしまうのです。このような事情があったとしても、飼えなくなった猫を外に放すのは”絶対に”やめましょう。
飼い主の高齢化
飼い主が高齢になると、体力や健康面の問題で猫のお世話が難しくなります。また、長期間の入院や老人ホームに入所しなければならない場合、どうしても猫と一緒に暮らすことができないこともあるでしょう。
飼い主の高齢化や病気によって猫のお世話が難しくなる可能性は、だれでもあります。猫をお迎えするときは、このような状況になった場合のことも考えて、早めに信頼できる人に相談するようにしましょう。
飼えなくなった猫の引き取り先を探す前に検討すべきこと
自分でお世話ができないならペットシッターを利用

忙しくて猫のお世話が難しいと感じたときは、ペットシッターを利用するのもひとつの手です。ペットシッターが自宅で猫のお世話をしてくれるので、猫もいつも過ごしている環境で安心して暮らすことができます。
ペットシッターは、学校や仕事で家を空けることが多いときや、急に忙しくなって手が回らなくなった場合に便利です。ペットシッターにスポットでお世話をお願いするだけで、猫との生活を続けられることもありますよ。
治療費の負担が厳しいなら分割払いにしてもらう
猫が病気やケガをして治療費が高額になると、一括で支払うのが難しいこともあるでしょう。そんなときは、動物病院に治療費の分割払いができるか相談してみましょう。
動物病院によっては、飼い主の経済的負担を考えて治療費の分割払いに対応していることがあります。また、ペット保険に入っていれば自己負担額を少なくできるかもしれません。飼い主の経済的な理由で猫を手放すことを避けるためにも、支払い方法を工夫してみると良いでしょう。
自治体によっては補助金を利用できることもある
医療費などの負担で悩んでいる方に向けて、自治体によっては補助金制度を用意していることがあります。例えば、避妊・去勢手術の費用や一部の医療費に対して補助金が出ることがあるため、自治体の公式サイトや窓口で確認してみましょう。
ただし、補助金制度は地域によって内容が違うので、自分の住んでいる地域でどのようなサポートが受けられるのか事前に調べておく必要があります。補助金をうまく活用することができれば、経済的な悩みも改善できるかもしれません。
しつけが上手くできないなら専門教室を利用
基本的に猫はしつけを必要としない動物ですが、ストレスなどによって問題行動を起こすこともあります。猫のしつけが難しくて困っている方は、専門の教室を利用することも考えてみましょう。
しつけ教室では、プロのトレーナーが猫の性格などによって適切な解決策を提案してくれるため、今まで悩んでいた問題も解決できる可能性があります。愛猫のことをもっとよく知るためにも、このような専門家を頼ることも検討してみてはいかがでしょうか。
飼えなくなった猫の主な引き取り先

家族や知人
最も安心できる引き取り先として、まず考えたいのが家族や知人です。信頼できる身近な人であれば、自分の大切な家族である猫を安心して引き渡すことができます。
また、家族や友人ならその後の様子も気軽に確認しやすいので、猫が新しい環境でどう過ごしているか把握しやすいです。まずは身近な人に相談し、猫のお世話をお願いできるか確認してみましょう。
動物病院
動物病院によっては、飼えなくなった猫の引き取りを行っていることがあります。かかりつけの動物病院なら、猫の健康状態や性格などについても理解してくれているため、安心して任せることができます。
動物病院では、里親を探すためのサポートや保護活動を行っている場合があるので、
まずはかかりつけの動物病院に相談してみましょう。
動物愛護団体
動物愛護団体は、猫や犬の保護活動や里親探しのサポートなどを行っている団体です。動物愛護団体によって活動内容は異なりますが、相談すれば飼えなくなった猫を引き取ってくれるかもしれません。
ただし、飼えなくなった猫の引き取りをお願いする場合、ワクチン接種や不妊・避妊手術を受けているかといった確認が必要なことも。事前に動物愛護団体の公式サイトなどをチェックして、必要書類や条件を確認しておきましょう。
市役所
飼えなくなった猫の引き取り先を探している方は、市役所にも相談してみましょう。市役所は猫の引き取りを行っていることがあり、里親探しや譲渡会を開催していることもあります。
また、動物愛護団体などと連携して、飼えなくなった猫の引き取りをサポートしている自治体もあります。さまざまな条件が設定されている場合がありますが、まずは市役所に連絡してサポートが受けられるか確認してみましょう。
老描ホーム
高齢化した猫の介護で悩んでいる方は、老描ホームへの入所を検討してみるのもひとつの手です。老描ホームでは主に寿命の近い猫を受け入れていますが、一部の施設では条件次第で猫を引き取ってくれる可能性があります。
入所費用や年間の利用料金などは必要ですが、環境が整備されている老描ホームなら猫が安心して生活することができるでしょう。
飼えなくなった猫を保健所が引き取るとどうなる?
飼えなくなった猫の引き取り先として保健所を考えている方がいるかもしれませんが、安易に保健所に預けることは控えてください。保健所が猫を引き取ると、一定期間は里親を探してくれます。しかし、期間内に里親が見つからなかった場合、その猫は殺処分されてしまう可能性があります。
先程もご紹介したとおり、飼えなくなった猫の引き取り先はいくつかあります。保健所に引き取りを依頼する前に、猫の幸せを考えてくれる施設や団体に相談しましょう。
飼えなくなった猫の引き取り依頼は慎重に検討しよう
猫を生涯にわたってお世話し、幸せな生活を提供することは飼い主の義務です。しかし、さまざまな事情によって、どうしても猫と一緒に暮らすことが難しくなることもあります。まずは自分で問題を解決できないか確認し、それでも難しいときは信頼できる引き取り先を探す必要があるでしょう。
猫が安心できる環境を用意したり、里親探しのサポートを行ったりしている施設や団体は全国にあるので、飼えなくなった猫の引き取り先を探している方は相談してみてください。

