ペットショップやブリーダーから猫を譲り受ける場合と違い、保健所や保護猫シェルターで保護猫をお迎えするには各施設の審査を通過する必要があります。保護猫はさまざまな事情によって行き場を失った猫たちであり、また保護されることがないように条件がされているため、里親として適切な準備が必要です。しかし、保護猫をお迎えするためにどのような条件をクリアすべきか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
今回は、保護猫の譲渡条件について詳しく解説します。この記事を読めば、里親になるためにクリアすべき条件を理解できるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
保護猫はどこからお迎えできる?
保護猫をお迎えしたいけれど、どこに行けば保護猫と出会えるかわからない方も多いのではないでしょうか。保護猫をお迎えできる場所には、主に以下の施設になります。
- 保護猫シェルター
- 保護猫カフェ
- 譲渡会
- 保健所
- 動物愛護センター
- 動物病院
- 保護猫の里親募集サイト
保護猫シェルターや保護猫カフェは民間の団体や企業が運営しており、保健所や動物愛護センターは行政が運営している機関です。このように、保護猫はさまざまな施設によって保護されており、譲渡会なども定期的に開催されている場合があります。近くにこれらの施設があるか確認してみましょう。
保護猫の主な譲渡条件

猫の健康を守ることができるか
保護猫をお迎えするには、行政や保護団体が定めた一定の条件をクリアしなければなりません。細かい条件は自治体や保護団体の方針によって異なりますが、ここでは主な譲渡条件について確認していきましょう。
まず、保護猫をお迎えするにあたって、里親希望者が猫の健康を守るために適切なケアができるのかチェックされます。主な条件は以下のとおりです。
- 定期的に健康診断を受けさせる
- ワクチンや予防接種の実施
- マイクロチップを埋め込む
- 避妊・去勢手術を行う
保護猫が元気に長生きするためには、日々の健康チェックと適切な医療ケアが欠かせません。健康診断やワクチン接種はもちろん、猫が望まない繁殖や病気の感染を防ぐためにも避妊・去勢手術を行うことはとても大切です。
また、行方不明になった際にすぐに身元や保護履歴を確認できるよう、マイクロチップの義務化も成立しています。保護猫に適切な医療ケアができるように、かかりつけの動物病院も探しておきましょう。
保護猫の里親として相応しい人物か
ペットショップやブリーダーから猫を譲り受ける場合、費用の支払いや簡単な書類手続きなどを行えば、原則だれでも猫をお迎えすることが可能です。しかし、保護猫の多くは飼い主の事情によって飼い続けることができなくなった猫であり、里親希望者が本当に新たな飼い主として相応しいのかチェックする必要があります。
保護猫が新しい家族のもとでも同じような状況になり、また保護される事態を避けるために、行政や保護団体は再発防止に努めているのです。保護猫の里親として相応しいかチェックするために、主に以下のような条件が設定されています。
- 18歳以上の成人(学生は不可)
- 60歳以上の高齢者ではない
- ひとり暮らしではない(結婚している家族がいること)
- 家族全員が同意している
- 子どもの有無(6歳以下の子どもがいる家庭は不可)
- 猫アレルギーがない
- 本人確認書類を提出できる
- 保護猫の飼育に必要な年収がある
- 長時間の外出が多いか
特に、家族構成や自分が不在の時に代わりにお世話できる人がいるかという点をチェックされます。また、猫アレルギーの有無や収入などについては書類の提示を求められることもあるので、事前に準備が必要です。これらはあくまで一例となります。詳細は各自治体や保護団体によって異なるため、しっかり確認しておきましょう。
猫が快適に過ごせる環境を用意できるか
保護猫の譲渡を受けるには、猫が快適に過ごせる環境を用意できるかも大切な条件です。ひと昔前までは猫を放し飼いにしている光景がよく見られましたが、放し飼いは望まない繁殖や病気の感染にくわえて、地域住民からのクレームにつながることがあります。そのため、現在は完全室内飼いが推奨されており、室内を猫にとって快適な環境にしてあげることが大切です。
猫が生活する環境については、主に以下の条件などがあります。
- 完全室内飼いができる
- ペット可の物件に住んでいる
- トイレやキャットタワーなどが設置されている
- 脱走防止対策ができている
- 先住猫がいるか(先住猫がいる場合は避妊・去勢手術が完了しているか)
- トライアル期間で問題がなかったか
保護猫をお迎えする際は、正式譲渡の前に1~2週間のトライアル期間が設けられていることがあります。実際に保護猫と一緒に生活してみることで、相性の確認や思っていた生活と違ったというミスマッチを防ぐことが目的です。
また、猫が脱走してしまうと、事故や感染症などのさまざまなトラブルに巻き込まれるリスクがあるため、脱走対策もしっかり行いましょう。
書類の問題がないか
最後に、保護猫の里親として問題がないか書類の確認や誓約書などの条件があります。保護猫の里親になるには、譲渡条件を必ず守ると誓い、契約書・誓約書に署名捺印が必要です。譲渡に必要な書類には、主に以下のような内容が記載されています。
- 最期まで責任を持って飼育すること
- 譲渡条件を必ず守ること
- 虐待や遺棄をしないこと
- 保護猫の再譲渡や販売をしないこと
- 猫の様子について定期的に報告すること
- 譲渡にかかる費用を支払うこと
- 里親希望者の個人情報
これらの内容を書面に残しておくことで、後々のトラブルを回避することができます。本人確認書類や収入証明書などを用意する必要があるかも、事前に確認しておきましょう。
保護猫の譲渡条件が厳しい理由

保護猫の主な譲渡条件について紹介しましたが、条件が厳しいと感じた方もいるのではないでしょうか。保護猫の里親になるにはいくつもの条件をクリアする必要があり、自治体や保護団体によってはさらに多くの条件を設定していることもあります。しかし、これらの条件は保護猫たちの幸せを考えた内容であり、どれも大切なことばかりです。
環境省が令和3年に発表した資料によると、年間に1万匹以上もの保護猫が殺処分されています。これはあくまで行政が把握できている数字であり、把握できていない捨て猫も含めれば、もっと多くの猫が命を落としているといえるでしょう。このように不幸な猫を1匹でも減らすためには、飼い主として相応しいかしっかりチェックし、保護猫を生涯にわたって幸せにできる人物なのか審査する必要があるのです。
譲渡条件は厳しいかもしれませんが、保護猫たちの幸せのためにも、里親希望者は譲渡条件をクリアできているかしっかり確認しておきましょう。
保護猫を幸せにするために譲渡条件はしっかりクリアしよう
今回は、保護猫の里親になるために必要な譲渡条件について詳しく解説しました。行政や保護団体の取り組みによって、保護猫の殺処分数は徐々に減ってきています。しかし、まだ殺処分ゼロには至っていないのが現状なため、飼い主としての責任をしっかり果たすことが求められています。保護猫をお迎えしたい方は、行政や保護団体の公式サイトなどで譲渡条件をチェックし、里親として保護猫を幸せにしてあげられるのか真剣に考えてみてください。


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