猫は狭い場所を好む習性があり、小さなすき間や容器に体を入れる光景を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。猫は自分の体より明らかに小さな容器でも、器用に体を丸めて入り込むことがあります。この姿を見た研究者が「猫は液体である」と発表した論文が話題になりました。当然、猫は動物なので固体ですが、猫が液体といわれるのは体の構造に理由があります。
本記事では、猫が液体といわれる理由や体の構造について詳しく解説します。また、猫が好んで入りそうなグッズや注意点なども紹介しています。ぜひ最後までチェックしてください。
フランスの研究者が「猫は液体」と発表
「猫は液体」といわれるようになったのは、2017年のイグ・ノーベル賞受賞学者の研究が発端です。フランスの研究者であるマーク・アントワン・ファルダン氏が発表した「On the rheology of cats(猫の流動学について)」という論文で「猫は個体かつ液体である」と述べられたのです。
この論文のなかで、マーク・アントワン・ファルダン氏は「液体とは容器に合わせて形状を変えるもの」と定義しました。そして猫も、一見入るのが難しそうな容器や狭い通路に体を変形させて入ることができます。猫は液体ではありませんが、猫と液体には共通点があることから「猫は個体かつ液体である」という説が発表されたのです。猫の液体説は大きな話題を呼び、世界中の愛猫家が衝撃を受けた研究でした。
イグ・ノーベル賞とは
ノーベル賞という言葉がついているため、イグ・ノーベル賞も世界中で称賛される賞のひとつだと思う方もいるかもしれません。しかし、イグ・ノーベル賞は「人々を笑わせ、同時に考えさせる研究」に贈られる賞であり、賛辞以外に笑いや皮肉などの意味合いも込められています。
マーク・アントワン・ファルダン氏が発表した猫は液体説も、結論だけ聞くと笑ってしまう内容かもしれません。しかし、論文の内容を聞くと、猫と液体には共通点があるかもしれないと考えさせられます。このような研究に対して、イグ・ノーベル賞が贈られているのです。
なお、イグ・ノーベル賞は日本の研究者や企業も受賞しています。例えば、2002年に玩具メーカーのタカラ(現:タカラトミー)が発売した犬語翻訳機である「バウリンガル」が、イグ・ノーベル平和賞を受賞しています。犬語翻訳機の発明によって、人と犬に平和と調和をもたらした功績を称えて贈られました。
猫は液体といわれる理由
体の伸縮性
猫は液体といわれる理由として、体の伸縮性があげられます。猫の両脇を抱えたり、猫が狭い隙間を通ったりする際に体が伸びるのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
猫を横から見ると、お腹の部分が揺れているのがわかります。脂肪のように見えますが、これはプライモーディアルポーチと呼ばれ、脂肪ではなく皮膚です。日本ではルーズスキンとも呼ばれており、体の動きをサポートしたり弱点のお腹を守ったりする機能があります。プライモーディアルポーチがあることで、猫は必要に応じて体を伸び縮みさせることができるのです。
靭帯の柔軟性
猫が体を伸ばしたり狭い場所で丸まったりすることができるのは、骨と骨をつないでいる靭帯が柔軟なためです。猫は他の動物より靭帯の柔軟性が高く、体の可動範囲が広くなっています。体の可動範囲が広いことで、狭い場所に入るときだけでなく、グルーミングを行う際も全身をきれいに舐めることができるのです。
骨格の構造
猫の体が柔らかい理由として、骨格の構造も大きく関係しています。人間は約200本の骨で構成されているのに対し、猫は約240本もの骨で構成されています。猫は人間より体が小さいにも関わらず、多くの骨を持っている動物なのです。
猫の肩甲骨は首の後ろにあるため、人間よりも柔軟に動かすことができます。また、猫は鎖骨が小さく、他の骨とつながっていないため自由に動かすことが可能です。狭い通路だったとしても、猫は頭を入れることができれば全身を柔軟に動かして通り抜けることができます。
さらに、猫の肋骨は左右に13本ずつあり、人間よりも本数が多いです。腰椎も人間より2本多いので、脊柱の柔軟性が高くなっています。猫は骨をつなぐ靭帯が柔軟なことにくわえて骨の本数も多いため、液体のように柔軟な体勢になれるのです。
猫が液体のように入っていくおすすめのグッズ

遠赤外線ホッとヒーター猫鍋
遠赤外線ホッとヒーター猫鍋は、猫が丸くなってリラックスできる鍋型ヒーターです。ヒーターの温度は約38℃前後となっており、ふかふかのマットもついているため猫が安心して眠ることができます。
また、コードは金属チューブでカバーされており、安全性にも配慮されている商品です。マットは汚れたら手洗いできるため、手入れも簡単に行うことができます。
2WAYキャットケイブ
2WAYキャットケイブは、狭い場所を好む習性がある猫にとって非常に落ち着くデザインになっているハウスベッドです。入り口が巣穴のような形状になっており、猫がベッドの中に隠れられるためリラックスできます。
また、ベッドの中が暑くなってきたときは、ボウル型のベッドに変形させることもできます。ドーム型とベッド型で使い分けることで、季節を問わず使える点が魅力です。汚れてしまった場合は、30℃前後のお湯で手洗いしましょう。
ガリガリサークル
ガリガリサークルは、猫が丸まって入ることができる爪とぎです。爪とぎとベッドが一体になった商品で、どこでも爪とぎができるデザインになっています。底面と側面で異なる爪とぎ素材を使用しており、猫が好みに合わせて使える商品です。
猫が液体のようにすっぽりと入れるため、爪とぎとベッドが一緒になった商品を探している方はこちらを検討してみてはいかがでしょうか。
クリアボウルハンモック
クリアボウルハンモックは、自宅のキャットタワーに追加で設置できる商品です。猫が液体のようにクリアボウルに入る姿はとても可愛く、愛猫がくつろいでいる様子を下から見ることができます。透明なので汚れが一目でわかり、手入れしやすいのも魅力。多頭飼いの場合など、猫がくつろげるスペースを増やしたい方にもおすすめの商品となっています。
同じブランドのキャットタワーにはもちろん、他のキャットタワーにも取り付けることが可能です。ただし、他のキャットタワーに取り付ける場合は、別売りのスペーサーも購入するようにしましょう。
猫は液体のように柔軟だが接し方に注意

猫は狭い場所を好む習性があり、丸まってくつろいでいる姿は非常に可愛らしいです。しかし、猫が狭い場所を好むことを理由に、無理に狭い場所に押し込もうとするのはやめましょう。
また、嫌がる猫を無理やり抱っこするのも危険です。猫が不安になって、飼い主を噛んだり引っかいたりすることがあります。猫が落下すると捻挫などのケガにつながるおそれもあるため、猫が抱っこを嫌がる場合は優しく降ろしてあげてください。
猫とのスキンシップや可愛らしい姿を見るのは癒されますが、猫がストレスを感じないようにすることが大切です。猫が幸せに生活できるように環境を整えて、自由に行動させてあげましょう。
液体のような猫は可愛いが安全への配慮も大切
今回は、猫は液体といわれる理由や猫が好んで入りたがるグッズなどを紹介しました。猫は液体と発表した論文は世界中で話題となり、現在もSNSで液体化した猫たちの写真や動画がアップされています。しかし、猫の体が柔軟で狭い場所を好むからといって、小さな容器などに無理やり入れようとするのは危険です。愛猫が好みそうなグッズを用意して、安全に配慮しながら自由に遊ばせてあげましょう。


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